ElectroniCast Stephen Montgomery

フォトニックスイッチ・マトリックス市場トレンド

高信頼、スケーラブルなネットワークを実現する全光マトリクススイッチ

 一定期間にファイバ一本あたりの加入者の数が倍増すると、そのファイバリンクあたりの故障に対する違約金もそれに応じて倍増する。ネットワークの設計者は、リダンダントループ、送受信器や光アンプなどのキーエレメントに関しては冗長構成を積極的に利用するようになっている。これら冗長構成に用いられるキーエレメントは、「ホットスタンバイ」で動作するようになっている。瞬時の故障感知が必要となっており、スタンバイユニットへの最速の切替が求められている。幹線系のケーブル断もまた大きな関心事となっている。

 長距離ネットワークは、現状ではリングアーキテクチャを採用して高信頼を確保している。ネットワークの拡張は必須となっているが、これを分析してみると、経済的で拡張性の高いネットワークにするにはメッシュアーキテクチャーにしてスイッチングするタイプのネットワークが今後の方向性であることが指摘されている。全光(フォトニック)マトリックススイッチは、このようなノードでの切替要求を満足させるという点で理想的な候補であると言ってよさそうだ。データレートやプロトコルに対してトランスペアレントであるため、フォトニックマトリックススイッチのアップグレーダビリティのレベルは高い。

シングルモードマトリックススイッチ販売額は2008年に13倍に拡大

 ネットワークの高い信頼性とスケーラビリティが必要とされているため、全光(フォトニック)機械式(MEMSを含む)および非機械式マトリックススイッチの世界の消費需要は、2003年の8600万ドルから2008年には10900万ドルへと拡大すると予測される。シングルモードM×Nと平衡I/O(N×N)シングルモードスイッチマトリックスには様々な構成があるが、これらの世界市場での成長トレンドは、下の表の通りである。

波長選択スイッチの登場

 WDMは、データ容量増大をになう解として受け入れられている技術の重要な一部となっている。一本のファイバあたり32×10Gb/s以上の波長をサポートするDWDM用のコンポーネントはすでに膨大な数量が導入されている(40以上の波長を伝送する一本のファイバから一つの波長を選択してスイッチングする必要性は、今後基本的なニーズとなるものと考えられる。これは技術的には、非WDMシステムで一本のファイバをスイッチングすることに匹敵する)。また、DWDMはオールオプティカルネットワーク(AON)というコンセプトをサポートする。WDMネットワークのフォトニックスイッチングには多くのアプリケーションがある。波長選択スイッチはサブシステムと捉えられており、フォトニックスイッチを利用するものである。そのため、波長選択スイッチは表1には含まれていない。

 波長選択スイッチのアプリケーションの筆頭に挙げられるものとそれに関連するスイッチカテゴリーは次のようになる。

  • 一本の光ファイバから特定波長の挿抜をコントロールする波長選択ADD/DROP
  • 入力ファイババンドルの個々の波長を出力ファイババンドルへ制御、ルーティングする波長選択光ルータ
  • 一本の光ファイバから代替のファイバへ特定波長を制御バイパスする波長選択光ノードバイパス

ADD/DROPスイッチには、すべてのドロップ波長は、ドロップ用のファイバを必要とする。同様にアド用のファイバも必要だ。光ADD/DROPスイッチは、一本の入力ファイバ、一本の出力ファイバ、一波長アドポートと一波長ドロップポートを持っているので、1×1×2と表現される。光ノードバイパススイッチは、一本の入力ファイバ、一本のバイパスポートを持っているので、1×1×1と表現される。

 光ルータでは、波長を出し入れするポートは分かれていない。一つの入力ポート、一つの出力ポートを持つ光ルータというものは存在しない。2本の入力ファイバ、2本の出力ファイバを持ち、3波長をコントロールできる光ルータは、2×2×3と表記される。

波長選択スイッチでは、波長選択に3タイプある。

  • 固定 固定波長もしくは波長バンド

  • 選択 複数の固定波長および波長バンドから選択

  • チューナブル  1波長もしくはそれ以上の波長あるいは波長バンドを可変制御

一本のファイバから特定波長の挿抜を制御 波長選択光ノードバイパス

下落するスイッチ価格

 1×22×2構成のシングルモード、マルチモードスイッチの平均価格は、今後10年で年平均712%下落する。この価格低下の要因は次の通りである。

  • 設計が固まって生産数量が増加し、自動化の進捗、低コストアセンブリ、試験ができるように設計変更されること。

  • フォトリソグラフィプロセススイッチエレメントが研究レベルから量産段階に移行すること。これに含まれるのは、ポリマーフィルム、クイッド・クリスタル(LC)、シリカ・オン・サブストレート、リチウムナイオベート、さらにその他の非機械式スイッチとMEMS光スイッチ。

  • 市場のボリュームが新規参入者にとって魅力的に映り、競争激化。特にパシフィックリムのベンダ。

  • 新技術投入で地域的な生産キャパが上がにつれ、低コストでシンプルなサブアセンブリ生産への移行による労賃の低下。

フォーキャスト期間で、特定ポート数1×Nの平均価格が下落するが、一方で平均ポート数が増加するトレンドがある。そのためフォーキャスト期間で、1×Nスイッチの価格低下はあまり目立たない。

これらの平均価格はサプライヤーが販売するものとしてであり、中にはカスタム仕様のコネクタがついていたり、ファイバピグテールのみがついていると言うこともある。特定仕様構成のスイッチ、例えば1×2のようなものは、仕様、販売数量、最終アプリケーション、その他の要素で価格的には大きく変動する。

非機械式がスイッチ市場を刺激

非機械式(ソリッドステート)フォトニックスイッチ(例えば、電気的に導波路の特性を変えてスイッチングするタイプ)の進化が目覚ましい。競合となる主要なものは、熱光学、EO位相長制御カプルド・ライン、マッハツェンダスイッチだ。EOと熱光学スイッチは、ポリマー、グラス・オン・シリコン、もしくはLN(リチウムナイオベート)を導波路材料に用いている(PLC平面導波路)

ポリマーとグラス・オン・シリカスイッチの価格下落は激しく、機械式スイッチと競合している。LNベースのスイッチの価格は高いままだが、3倍〜4倍の価格が正当化されているのは、これが高速変調器に用いられているからだ。

ソリッドステートスイッチングへのもう一つのアプローチとしては、インラインアクティブ利得可変エレメントがある。このコンセプトの最も一般的なものは、半導体光増幅器(SOA)である。エネルギーを与えると、SOAは通過する光信号に利得を与える。エネルギーを与えなければ、SOAは入力信号に対して強いアッテネーションとなる。利得を供給できるため、SOA1×Nスプリッタの出力ポートに組みこみ、ロスの少ない、もしくは利得のある1×Nスイッチを構成することができる。

SOAを別にすれば、これら非機械式スイッチは一般に、機械式スイッチに比べてロスが大きいこと、消光比が低いことが難点である。しかし、アドバンテージとして、高速スイッチングが可能であること、量産性が高いこと、低コストであることが挙げられる。また、2003年の段階で商用化されている機械式スイッチに比べて、これら非機械式スイッチは遙かにコンパクトにできることもアドバンテージだ。

Lynx Photonic Networksは、ソリッドステート(非機械式)スイッチとパスマネージメント技術を供給できる企業の一つである。同社によると、PLCベースのフォトニックスイッチングにより、信頼性が高く、低価格で、効率的なポイント・ツー・マルチポイント、マルチポイント・ツー・マルチポインの光ネットワークが構築できる。これらのネットワークでは、データレート、データフォーマット、プロトコルに依存しないネットワークであり、アップグレード、新しい装置の導入、サービスの導入などは迅速にできる。

Trellis Photonicsはホログラムを用いたスイッチング方式に取り組んでいる。この方式も重み付けマルチキャスティング、ブロードキャスティングをサポートする。また、NELも非機械式スイッチを開発している。その他にも、R&Dや製造で非機械式オールオプティカル、MEMSベースやその他の機械式フォトニックスイッチに取り組んでいる企業がある。

MEMSベースの機械式スイッチがホット

 マイクロ・オプト・メカニカルシステム(MEMS)の研究開発は15年以上も続いている。MEMS開発プログラムを持っていない開発型企業や大学を見つけるのが難しいほどになっている。シリコンプロセス、半導体バッチ処理プロセスを用いたその他の材料は、可動光エレメントアレイの製造に最適であると言える。MEMSベースの機械式スイッチの商用開発、製造に取り組んでいる企業は、大企業から小さなスタートアップにまで及んでいる。

2つの大規模マトリクススイッチカテゴリ

 マトリクススイッチは、大きくは2つのカテゴリに分けられる。N×NM×Nだ。N×Nマトリクスは、N個の入力ポート、N個の出力ポートを持ち、どの入出力ポートも相互に接続でき、出力ポートに接続できない入力ポートは存在しない(注:入力、出力というのは用語であり、ほとんどのスイッチは双方向)N×Nスイッチは最も複雑なスイッチで、ほとんどのスイッチアーキテクチャでスイッチエレメントの数はN2で増加する。N×Nスイッチはネットワークノード接続で用いられ、ファイバの相互接続を完全に制御する。このタイプのスイッチの理想的なアプリケーションは、デジタルクロスコネクトスイッチである。何百というノードジャンクションのファイバペアで、N×Nスイッチはノード切替を最小限の数で行うことができ、256×256程度の規模となる。

 M×Nスイッチは入力ポートM、出力ポートNを持ち、入出力すべてが同時に接続されるわけではない。MNの数が等しいこともある。例えば、2つの1×8スイッチが個々のポートでつながって8×8の不均等なスイッチを構成する。一般に、M×Nスイッチは構成がはるかにシンプルである。しかし、アプリケーションはかなり重要だ。512のアレイでは、1×2スイッチを用いて512×1024スイッチを構成し、完全な256ファイバペアネットワークを作って一つのルートでのケーブル障害時に代替ルートを提供する。この不均等マトリクススイッチのスイッチングエレメントは512に過ぎない。 

複雑化が増す傾向

 アンバランスなマトリクススイッチは単一の全般的なカテゴリ、M×Nの中に分類されている。それにはギャングアレイも、テストで使用される特別なアセンブリも含まれている。均等な入力/出力(N×N)OPTCOMメカニカルスイッチマトリクスは、下に示すような入力/出力にセグメント分けされている。ほとんどすべてのマトリクスはポートカウントが4ずつ(つまり、48163264、等)増えていくが、テレコムでは72ずつで増やしていく。(2×2スイッチは単一エレメントオプトメカニカルスイッチカテゴリーに分類)2つのタイプのスイッチングマトリクスの複雑さは着実に増してきている。入出力同数のスイッチマトリクスで2003年の主流は16×16であり、全体の金額の24%(シングルモードとマルチモード)をしめた。16×16がピークとなった理由は、これ以上のサイズでシングルモードスイッチが実際に手に入らなかったからである。MEMSベースのマトリクススイッチが出てくると、もっと複雑な(72×72)ユニットに進んでいくものと思われる。72×72以上のマトリクスへのトレンドは主に次の点が促進剤となる。

  • 通信キャリアのセントラルオフィスで、銅線に取って代わった光ファイバによってトラフィックが増え、帯域が爆発する。

  • アプリケーションの中に、常にデータストリームを占有する必要のあるものが出てくると(多くのアプリケーションではパケットデータであるが)、スイッチを流れる個々のデータストリームは2.5Gb/sを超える。

M×Nマトリクススイッチ市場の成長を促進する要因は次の点である。

  • 高信頼の要求(ダウンタイムが少なく、ノイズが少ない)、したがって加入者のループ、幹線、センター局装置の冗長性の向上と高速切替ニーズが増える。これはディザスタリカバリの要求だ。

  • 運用ファイバの丈治も似たとテストで経済性を高めること。これは必要に応じて迅速な切替ができることだ。

上の金額(前号の表)には電子制御/電気ユニットの価格も含まれるが、ネットワーク管理ソフトのコストは除外。また、専用の製造と販売ユニットの費用も含まれる。

シングルモードからマルチモードへ

 初期のスイッチマトリクスはマルチモードだった。その理由は、主として設計・製造の容易さにあった。スイッチエレメントのパフォーマンスで最も重要な点はアライメント精度であった。マルチモードに対してシングルモードのアライメントの難しさは桁違いだった。主要な市場である通信分野では、すでにシングルモードマトリックススイッチがメインになっている。

1 シングルモードマトリックススイッチの世界の消費需要(単位:100万ドル)

Switch MatrixConfiguration

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

NxN

  54

  82

 124

 187

 293

 510

 625

MxN

  32

  45

  69

 110

 184

 314

 469

TOTAL

  86

 127

 193

 297

 477

 824

1094