特別寄稿

高速通信ネットワーク 光ベースチューナブル分散補償モジュールトレンド

Stephen Montgomery, ElectroniCast

分散(パルスの広がり)によって信号のデータビットは、ファイバを伝搬していくと広がり、重なる。2.5Gb/sでは、伝送信号間の間隔は離れているので、相当な分散の影響がない限り空間的に余裕がある。しかし、ビットレートがそれよりも高くなると、伝送システムの分散トレランスは極端に減少する。10Gbps動作では、システムの分散トレランスは2.5Gb/s16倍悪くなる。40Gbpsとなると、これは256倍悪くなる。

 エレクトロニキャストによると、高速通信ネットワーク(10Gbps以上)の光ベースの可変分散補償の世界の消費金額は1999年の58万ドルから2005年には3000万ドルに増加すると予測されている()。光ベースの可変分散補償モジュールは補完的なものとして用いられているだけでなく、特定の長さのDCF、その他のファイバベースのソリューション、あるいはテレコムリンクのチップベースのオプションに対する置き換えでもある。これらのデバイスは、OADM、光アンプノード、信号の再構成、テスト/計測およびその他のアプリケーション機能との関連で用いられる。今年、特に来年、2005年には、光ソリューションの可変分散補償器はサブシステム装置に組みこまれ、最終的には高速通信ネットワークに導入されることになる。

 通信システムオペレータは、リンク速度を10Gbpsに、最終的には40Gbpsにアップグレードしつつある。またDWDMを用い、ネットワークの容量を拡大しようとしている。容量を拡大しようとすると、分散を考慮する必要が出てくる。と言うのは、キャリアは品質の異なる多様な(既設)光ファイバを使用しているからだ。伝送速度が上がり、光リンクが長くなると、DWDMOADMでは分散補償器が必要となる。現状では、3つの光ベースの可変分散補償器がある。virtual-image phased-arrys(VIPAs)、ファイバブラッググレーティング(FBG)、それにエタロンだ。これらのモジュール(デバイス)は、光通信ネットワークリンクの様々な場所に導入される。

ファイバパフォーマンスの劇的改善

 光ファイバが1970年代初期に導入されて以来、ファイバ製造プロセスは進化を遂げ、データ伝送量は指数関数的に増加した。初期の頃は20dB/kmのファイバの損失は珍しくなかったが、今では1550nm0.2dB/kmだ。一般に、損失は長波長側で少なくなる。損失に加えて、ファイバの設計も次世代フォトニックネットワークを実現するための他のパフォーマンスパラメタの向上に貢献を続けた。これらは、分散、PMD4波混合(FWM)だ。

ファイバネットワークでは分散マネージメントが主要課題

 次世代ネットワーク設計に当たって多くの技術課題が出てきた。これには分散およびPMD、損失、光SNR、ファイバの非線形効果が含まれる。これらの技術的課題すべての間には、許容できる範囲で信号マネージメントをするために異なるソリューションを用いると、トレードオフが生ずる。波長分散は、長距離2.5Gb/s以上の伝送で問題となる。許容できる分散は、データレートと伝送距離に関連している。分散は距離に比例して増加する。データレートが高くなればなるほど、時間的にパルス間隔がつまり、それに応じてパルスの広がりの許容度が少なくなる。これに加えて、チャネル密度が増すと波長分散の問題は分散スロープの問題として重要になる。分散スロープは、使用帯域の個々の波長によって異なる分散レートが生ずることを言っている。すべての波長において分散が精密に補償されていないとすると、残留分散が蓄積され、最終的にはシステムの分散トレランスの限界を超えることになる。限界に達すとと言うことは、伝送距離が延びない内にパルスが光として再生されなければならないことを意味しており、ネットワークのコストアップ、複雑化を増すことになる。同一のファイバですべてのパラメタを最適化することは、極めて困難な仕事である。新しい世代のNZ-DSFは役に立つが、これはパワーの向上と非線形効果の低減により効果が高い。これらのファイバは、各チャネルの分散を低減することはできない、と言うのは分散は波長依存的であり、累積のレートが波長によって異なるからである。異なるタイプのファイバは、異なる帯域で様々な分散値を持っている。

 分散補償器を挿入する最も一般的なポイントは、光アンプノードで、これは4060km間隔で存在する。分散補償器を入れるとパワーロスとなるので、これに対する増幅が必要となり、アンプのステージ間に分散補償器が挿入されることになる。EDFAやラマン増幅で信号にパワーを与えて信号の強さを維持するが、他方で信号は分散やノイズのために再生が必要となる。したがって、再生は分散補償の一つのアプローチとなる。光増幅は損失の影響を著しく軽減するが、光信号の伝送距離をさらに延ばすには分散が一層重要となる。

 今日のチャネル数の多いシステムでは適切な分散スロープマネージメントは可変的でなければならない。4あるいは8chの小さなグループを精密にチューニングするのではなく、可変ソリューションによってすべての波長を同時に補償することができる。これは、最も短波長よりのチャネルと最も長波長よりのチャネルとでは累積する分散量に大きな違いがあるからである。チャネル数の多いDWDMシステムでは、チャネル間隔は極めて稠密で、分散と分散スロープを広帯域にわたって絶えず管理していることが必要となる。分散スロープマネージメントは容易ではなく、ある波長では分散値をより高くすることが必要になったりする。こうした波長依存性は、最も短波長よりのチャネルと最も長波長よりのチャネルとの間に存在する分散スロープに大きな違いがあることを意味している。

 広帯域に渡る分散マネージメントを継続して行うことは、再生器間隔が広がるとさらに一層難しくなる。超長距離伝送では、現状の再生器間隔は30005000kmである。再生器は高価なデバイスで、これが全ネットワークコストの大きな部分を占める。オペレータは、特に40チャネル以上のシステムを用いる場合、再生器間隔を伸ばすソリューションを追求している。システムで実際に用いられている光リンク(再生器間の距離)を拡張しようとすると、光増幅器間の各スパンの分散マネージメントを益々高精度にすることが必要となる。システム要求に依存することだが、分散補償器はMUXの後、あるいはDEMUXの前に置くこともある。DEMUXの前に置くのは、広帯域な残留分散補償のためであり、あるいは各ラインレシーバの前のチャネルごとの分散補償のためであり、あるいは信号がDEMUXされた後の広帯域サブバンド分散マネージメントのためである。

 初期の分散補償器は、主に海底や長距離陸上ネットワークで用いられていたが、こうした分散補償器は単純に分散補償ファイバ(DCF)で構成されている。これは負の分散特性を持つものであり、適切な長さのファイバで伝送ファイバの分散をキャンセルするものである。一般に、ファイバスパンは2あるいはそれ以上のタイプの異なる波長分散のファイバ、あるいは特別な分散補償ファイバを組み合わせたものである。異なるファイバ全体が伝送路の一部となっていたり、あるいは分散補償ファイバが別のDCMにパッケージ化されリンクの適切な場所におかれることもある。DCFは相対的に効果であり、導入には人手を要する。加えて、著しいロスの増加となり、またそれ以外の問題もある。さらに、シングルユニットでは完全にすべての波長の分散を補償することはない。このため、業界ではDCFはメトロではあまり役に立たないという議論もある。DCFによる挿入損失が高いので、このように経済性が求められるネットワークでも増幅が必要される。DCFの損失は、補償されるべき分散のレベルに直接比例するものである。分散のレベルが高くなればなるほど、DCFの長さが長くなる。するとDCFのスパンの信号ロスが大きくなる。スロープミスマッチも、チャネルごとの精緻な分散補償が要となるビットレートの高いところでは重要だ。

 これらの課題に応えて、DCFのサプライヤーの中にはDCFを改善したところもある。実際に、ファイバベースの分散補償モジュールの中には、全帯域に渡って分散スロープのマネージメントができるものもある。これらは、非線形効果なしでハイパワーを維持することができる。このユニットは、特殊設計のMMFベースのハイオーダーモード(HOM)ファイバを利用している。

FBGベース補償器はよりコンパクトで損失が少ない

 FBG技術は、1970年代に初めてデモンストレーションが行われ、今では様々なアプリケーションで用いられつつある。これには分散補償器だけでなく、DWDMフィルタ、温度センサも含まれる。FBGは、DCFに替わるという意味で、将来性がある技術だ。挿入損失が小さく、パッケージも小さい。FBGは、ドーパントを添加したファイバに周期的な屈折率変化を形成することによって造られる。これにはUVレーザ光でできる強い干渉パタンにファイバを晒すことでできる。グレーティングの長さやグレーティング面間の間隔が最適化されると、様々な波長で動作するようにグレーティングをカスタマイズすることができる。しかし、FBG補償器のパフォーマンスを制限する要因は、群遅延リップルであり、限られた補償帯域、製造プロセスの難しさであった。これらの難点は、最近の業界の会議で発表される文献を見ると、より複雑な新しいグレーティング設計によって緩和されつつある。

エタロンベースの分散補償器はチューニングレンジに限界

 これらの分散補償器は光キャビティの中に形成されたバルクオプティクスをベースにしたものである。光キャビティの中は2つのミラーの間で複数のビームが干渉する構造となっている。こうしたデバイスは、フィルタ、波長ロッカー、インターリーバーなど、他のコンポーネントにも共通している。ミラー間のスペースを買えることによって可変性を持たせることができる。あるいは温度によってデバイスのチューニングレンジを調整することができる。一般に、波長に依存した分散の違いである分散スロープは製造プロセス中に固定される。

VIPA

Virtual-Image Phased Arrays(VIPAs)はミラーの選択性とレンズを用いて光信号の伝搬を調整する。チューニングは光パスの長さを動かすことで実現される。パスバンドの広さに限界があるのが課題となっている。

電気的分散補償

半導体チップを用いた電気的分散補償(EDC)は、光信号が電気信号に変換された後に分散や他の非線形効果を修正するというアプローチを取っている。電気的補償は、アダプティブCDRもしくはアダプティブイコライゼーションのいずれかを用いて実現される。さらに、FECデバイスも用いて多くのアルゴリズムを実行してエラーを検出し修正する。これらの機能はトランスポンダに組みこまれている。こうしたソリューションは経済的であり、光ソリューションに比べて最小のサイズが実現できると期待されている。

(Stephen Montgomery氏はElectroniCast Corporationの社長 e-mail: smontgomery@electronicast.com)


図 10Gbps以上の通信ネットワークに用いられる光ベースの可変分散補償器の世界市場での消費金額トレンド(単位:100万ドル)

Global Market Consumption Value Trends of Optical-Based Tunable Chromatic Dispersion Compensation Modules used in >=10Gbps Telecommunication Networks ($, Million)

Includes:  etalon, VIPA and FBG

Source: ElectroniCast