特別寄稿
エレクトロニキャスト

マルチファイバ伝送リンクとコンポーネント市場

エレクトロニキャスト社長、Stephen Montgomery

市場の歴史

19992001年、マルチファイバ(並列、2以上の光ファイバ)リンクの消費需要はかなり成長した。これは、こうしたリンクを用いた装置が世界的に急速に成長したためである。多くのスタートアップが誕生し、次世代マルチファイバコンポーネントおよびそのアプリケーションに目を向けた。主に、マルチファイバの技術促進に目が向けられた。データレートを高速化し、初期のマルチモードファイバからパフォーマンス改善のためにシングルモードにし、チャネルを増やし、パッケージをコンパクトにした。しかし、2001年中に、通信装置の新規受注率は急落した。マルチファイバリンクコンポーネントのシェアの大きな部分をしめたのは、新規受注ではなく、カスタマーの在庫からのものだった。受注率は下落し、価格競争は一層厳しくなった。注文も価格も2002年初めにかけて、さらに落ちていった。出荷額の下落は2002年終わりから2003年初めにかけてフラットになった。2003年末には受注率に回復感が見られ始め、2004年にはこれが加速した。

 デジタル機器のデータ処理能力は、半導体デバイスの性能/価格比の大幅な向上によって、過去10年で長足の進歩を遂げた。このことが、アナログに最適化されたSONETベースの旧い通信ネットワークに対して、インターネット、デジタル最適化ネットワークの価値を高め、装置の普及を支えるものとなった。これによって国家的な通信事業者がインターネットプロトコルリンクを自社のシステムに導入し、ネットワーク装置市場の拡張を生み出すことになった。2004年半ば、世界の通信業界は成長回復の初期段階にあるが、企業や地域の建物間のデータ量は急速に拡大している。このローカルトラフィックの一部はルーティングされて長距離ネットワークに流れ込み、ロングホールや大陸横断、海底横断装置市場にもいずれ回復がやってくる。

市場は極めてコストに敏感

マルチファイバリンクアプリケーションは、マルチチャネルDWDMで大容量データを長距離伝送する10Gbpsシングルモードハイパワー端面発光レーザと、短距離用銅線リンクとの間に存在するものだ。VCSEL(面発光レーザ)を用いたマルチファイバリンクの市場は、主に101000mで、0.510Gbps/chアプリケーションであり、サーバクラスタリング(InfiniBand)、デジタルクロスコネクトスイッチ(DCS)のラック間接続、先端武器システムなどのテラビットレベルのインターコネクションである。銅線リンクの開発は、過去10年で大きな進歩(ギガビット×m)を遂げた。この市場は非常にコストに敏感である。マルチファイバとマルチ銅線間の分岐点は、現状では約100mだが、2008年までにはこれが約50mまで落ちてくるだろう。しかし、様々な構成で、DCSなどでは、装置内リンクは5m以下〜1kmの範囲だが、設計者はインターコネクト技術の混在を嫌うので、マルチファイバが有利である。

ファイバか銅線か

マルチファイバかマルチ銅線かを設計者が決める決め手となるのはコストだ。必要なパフォーマンスを満足させる最低の価格ソリューションが勝利を収める。マルチファイバとコンポーネントの設計者はこの点については鋭い認識を持っており、高い集積度、アセンブリとテストの自動化が、ギガビット/kmのコストを下げることに注目している。スペースも重要であり、集積することによってサイズが小さくなり、銅線に対するアドバンテージが増す。特に、トータルスループットがテラビットレベルに近付くと差は歴然とする。

マルチモードファイバリンクコンポーネントの開発と供給の競争は健全である。2001年〜2002年のベースラインでは進化は大きかった。最大の変化は、中短距離オプトエレクトロニクス分野で地歩を固めているフィニサ(Finisar)が、インフィニオンのオプトエレクトロニクス製品ラインの(20044)買収したことだ。買収によって多くのスタートアップが姿を消すか、ドアを閉めた。コンポーネント技術の進歩と新製品の開発意欲はドラスチックに色あせたが、今また再開されつつある。

送信/受信モジュールが支配するリンク市場

2003年のリセッションのボトムから予測すると、マルチファイバ送信リンクのトータル市場をなすコンポーネントの世界消費需要は急上昇する。これは2003年の5360万ドルから年平均57%で伸びて2005年には13300万ドルに達する(1)2005年までにはこれらの製品は量産段階にはいるので、コンポーネントの数量の急伸は平均価格の大幅下落によって部分的には相殺され、2008年までの成長率は年平均48%、規模は42700万ドルに達する。2003年の段階では、マルチファイバ伝送リンク価格で送受信ペアは82%を占めていたが、この比率は予測対象期間では若干落ちてくる。光バックプレーンは柔軟性が高いので、拡大していく。リンクの金額のたシェアは910%から下降がが始まり、2008年には4200万ドルとなる。柔軟性の高い光バックプレーン(flex circuits)は、マルチファイバ伝送リンクルーティング以外のアプリケーションでも使われる。工場でアセンブリされたマルチファイバインターコネクトケーブルリンクは平均して短く、15m以下であるが、市場シェアは非常に大きくなるだろう。ラインコンポーネント(マルチチャネル光スイッチ、VOAなど)では、どちらかというと大して重要ではない。

ケーブルがマルチファイバパーツの価格をリード

 アセンブリされたマルチファイバコンポーネントのシェアは、工場アセンブリと現場アセンブリを足すと、ある程度の数量に達しており、拡大基調となっている。金額的には、パーツと工場アセンブリ/テストコストを合わせたものがメインとなる。フィールドアセンブリの占める割合は小さい。アクティブコンポーネント(送受信)も、最終コストを見ると、工場アセンブリとテストコストの割合が大きい。マルチファイバ伝送リンクコンポーネントのアセンブリされたデバイスとパーツの世界消費需要は2003年の880万ドルから、2008年には9810万ドルになる(2)。マルチファイババルクケーブルがデバイスとパーツに占める割合は、2003年〜2008年の間に、14%(120万ドル)から、21%(2060万ドル)となる。ケーブルの金額のほとんどは、シェルフ間、キャビネット間インターコネクト用の頑丈なジャケットケーブルであり、シェルフ内およびその他の保護されたインストレーション用の軽装ケーブルと対照をなしている。

 マルチファイバの送信器と受信器用のエミッタ、ディテクタ、光電気ASICはベアダイアレイであり、Tx/Rxパッケージにベアでマウントされる(エミッタとディテクタのASICとの集積化が進行)2003年におけるマルチファイバデバイス/パーツの累積シェアは35%2008年になってもそれまでの累積シェアはほぼ同程度で推移し、33%程度となる。Tx/Rxパッケージのパーツ/デバイス価格シェアの中では注目されるところであり、これは2003年の34%(300万ドル)から2008年には28%(2730万ドル)に変わる。20032006年にかけてこれらのパッケージはカスタムデザイン、各Tx/Rxベンダ独自のものであるが、製造はベンダの設計に基づいて契約製造メーカーが行う。2008年までには、Tx/Rxパッケージは成熟し、多くは見直しがかけられてMSA適合となる。しかし、まだ各ベンダのカスタム設計は残る。製造が進化してくると、パッケージベンダとして確立されることになる。

装置の複雑化でマルチファイバインターコネクト需要増

 1990年頃、テラブス(Tellabs)は自社のデジタルクロスコネクト交換機の装置内ファイバインターコネクトをHPLEDを各チャネルに用いる先駆的な開発をして、4Gbps(プロトタイプでは10Gbps)、内部のシングルエンクロージャのリンクを576とした。マルチファイバインターコネクトリンクを多く使用しているのはまだDCSである。しかし、過去5年ほどで、インターネットの爆発につれて、サーバやルータの複雑さが増し、内部ファイバインターコネクトも高密度になってユニットコストも増えてきた。

 サーバ(サーバコンピュータ)は、現在でも、またフォーキャスト期間を見ても、装置製造金額からして最大のマルチファイバリンクユーザとなる。また、その他の装置群と比べると、成長率はわずかに高い。DCSの将来は、従来の通信ネットワークの拡張に依存するものである。これはある程度は期待できるが、インターネットのバースト的な成長と比べると堅調であると言える。他のアプリケーションは、主に企業通信ネットワークの拡張であり、これもインターネットの拡大に関連している。インターネットは通常の通信ネットワークよりも平均して速いレートで拡大していくが、新規導入のレベルでは拡大の上下動が激しい(2000-01-02-03)。マルチファイバ伝送リンクと関連するデバイス/パーツのこのフォーキャストは、装置生産の成長率予測、装置内部のファイバインターコネクション密度、平均チャネルデータレートおよびその他の要素と関連がある。

まとめ

「光アレイインターコネクト」という言葉は、マルチファイバケーブルを用いたマルチチャネル(並列)光リンクのことを言っている。ほとんどすべての場合、アプリケーションは短距離に限られており、500m以下である。ほとんどは300m以下の設計であるが、実際には使われているのは15m以下。これは明らかに銅線の置き換えとなるアプリケーションである。従来のインターコネクションの伝送距離は、システムが大きくなると基本的な限界が現れる。

 「並列光インターコネクション(POI)」という表現は、こうしたアプリケーションに当てられる。エレクトロニキャストは「アレイ」という用語を好んで使用する。これは、ほとんどのそうしたリンクが並列データ伝送と言うよりも、独立したシリアルチャネルのアレイとして動作するからである。真のPOIアプリケーションは存在するが、一般的な光インターコネクションアプリケーションの一部と捉えられている。

 GbESONETなどの標準ベースのインターコネクトと対照的に、光アレイインターコネクトは、現状ではほとんどが独自の機器内インターコネクトである。InfiniBandなどの業界標準はイントラシステムリンクでは将来重要な役割を担うと考えられる。システム設計者にとっては、独自のリンクは最もオーバーヘッドの少ない、究極の高速データ伝送ソリューションである。システムレベルでは、マルチベンダ相互接続問題が複雑さやコストアップにつながらない。しかし、ほとんどのカスタマーは、アレイVCSELトランシーバモジュールの互換性を好む。長期的には、特に業界がリードする標準が新しい標準として普及し、将来のニーズに応え、量産で手にはいるようになるだろう。

 「光バックプレーン」という用語は従来の電気バックプレーンに相当する光アナログを意味する。もしくは、電気のインターコネクトでこれまで不可能であった新しいアーキテクチャを実現するアレイ光インターコネクトの使用を指すこともある。全光通信となると、アレイ光インターコネクトは速度や距離の以前の限界点を拡大することができる。

銅線の根本的限界とシステムの拡張が市場拡大要因

プリント回路配線や銅線バックプレーンなど、ボード上のエレクトロニクスシステムの電気インターコネクトを伝送路と捉える必要がある。デジタルデータを伝送しているとは言え、アナログ伝送路としての設計が必要だ。新しい設計では、パラレルシングルエンドビットから2.5Gb/s動作の差動ペアに移行しつつある。これは銅線のインターコネクト限界を超えるものだ。しかし、バックプレーンの速度は将来的には5Gbps以上となるだろう。銅線ケーブルの基本帯域の限界は速度と距離のトレードオフである。ケーブルサイズと設計のパフォーマンスの制限要因は誘電損失である。銅線ケーブルのサイズにともなってこの速度-距離の限界も拡大し、等価技術、マルチレベルアナログシグナリングも同様である。しかし、インターコネクトの実装密度とアグリゲーション速度が高まり、次世代銅線リンクのコストが急速に高まると、アレイ光インターコネクトの出番が議論されるようになる。データストリームがシリアル化するというトレンドにより、光への移行実現が容易になってきた。

しばらくすれば、12mの距離では銅線に対する光ソリューションの価格がリーゾナブルになるが、このカテゴリーは多くの大規模システムの信号ラインの1015%に過ぎない。銅線がシステムのすべてのポートをカバーするのでないと、一般的に言って、設計者は光を用いたシステムアーキテクチャを採用することになるだろう。

FIGURE 1:

Multifiber Transmit Link Components
Global Market Trends ($ Million)
Source: ElectroniCast Report 7007 (year 2004)


Figure 2:
Multifiber Transmit Link Devices and Parts
Global Market Trends ($ Million)
Source: ElectroniCast Report 7007 (year 2004)

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